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1979年8月 ロンドンにやってきた 8

30分ほど経っただろうか。
皆、待合室のソファーに座ったまま誰も動こうともしない。
私は、いつロンドン行きの飛行機の案内があるかわからないので、その場を動けないまま一時間ほど経過した。
この待合室は、飛行場側が総ガラス張りになっており、外は夏の眩い光がさんさんと輝いているが、そのコントラストのせいか室内はやけに暗かったように覚えている。
さらに30分ほど経ったであろうか、突然何の前触れもなく、待合室にいた人たちが全員立ち上がり、空港の滑走路に出る出口とは反対の方にゾロゾロと歩き出した。
(みんなが一斉に立ち上がったのだから、前触れがないなどということもなかったのだろうが、案内があったという意識も私にはなかった)
焦りまくった私は、先ほどの先生を捕まえて事情をきいたところ、これからバスでホテルまで行き、食事を兼ねた休憩をするらしい。
おいおい、いったいオレはいつになったらロンドンに着けるってんだぁ?
などと叫んでも誰も耳を貸してくれるわけでなし???
長いものには巻かれろ主義の私は、みんなについて仕方なくゾロゾロと建物の出口に向かって歩き出すしかなかった。
薄暗い通路を歩いていくと、前を行く人々の隙間から出口が見えてくる。
縦長の出口の向こうはカァ~ッとした、いかにも灼熱の夏といった光が通路まで漏れてきている。
その出口の周りには、20人はいるであろう人の頭がぽこぽこっととても興味深そうに、私たちが歩いて出てくる通路を覗き込んでいる。
人々のむき出しの興味が異様に突き刺さってくる。
続く




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